Mischievous

深夜、礼拝者が居なくなり静まり返った教会で
イヤホンを外して耳を澄ませば・・・
あぁ、聞こえてくる・・・愛しい貴方の足音が

しばらくすれば、ためらいがちに開かれる扉
そこからひょっこりと愛しい小さな顔が現れる
手招きしてあげれば嬉しそうにこちらに走りよってくる

。」

愛しい名前
呼ばれると嬉しそうに笑って
私の胸に顔を埋める
あぁ・・・・また始まるのですね・・・
誰にも邪魔されない
ずっと待ち望んでいた瞬間が

「ジャスティン、今日は昨日より叩かれなかったよ。」

嬉しそうに悲しいことを話す少女
彼女の家は暴力がひどい
小さなは身を守るすべを知らない
まして、いつもは温厚な大好きな母親からの暴力は・・・・
だから、は笑う・・・次の日になればいつもの優しい母親に戻るのだからと・・・・

あぁ、この小さな少女をどうしたら幸せにできるのだろうか


「Mischievous・・・・。」

?」

「絵本に書いてあったの。」

「何の絵本ですか?」

「えっと・・・ピエロの話・・・ねぇ、どういう意味?」

「Mischievous・・・・・いたずら好きな、有害な。」

「どうしてピエロはゆうがいなの?」

「それは・・・・ピエロは人を惑わすのです。」

「?」

「それは、時に狂気に繋がる。」

「狂気・・・・。」

「どうして、意味が知りたかったのですか?」

「・・・・お母さんがね、私に言ったの・・・・お前はこの話に出てくるピエロのようだって。」

そう言っては一冊の絵本を出した
その本のあらすじは
ある古びた村にサーカスの一座が来た
その町は毎日がパレードのように明るくなった
そして、狂い始めた・・・・
村は病気になった
村人の多くは魂が抜け人形になった
残った人たちは村に来たサーカスの団長のピエロを捕まえた
そして・・・・・・・・・

こんなものが絵本なんて
少女がこのピエロ?
相応しくない・・・こんなにも心が綺麗なのに・・・・

震えるを抱きしめる
力強く、ここは安全だと・・私は貴方の味方だと・・・伝えるために

「大丈夫です、私が貴方を守ります・・・・はピエロじゃ在りません。」

「でも・・・・。」

「大丈夫・・・私が貴方の側にいます・・・ずっと。」

「約束?」

「えぇ、約束です。」

嬉しそうなその笑顔
誰にも渡しません、私だけのもの
さぁ、子守唄を歌いましょう・・・・
貴方が安らかに眠れるように。

『 Mischievous・・・いたずら好きな、有害な』
         ほら、また一人狂気に飲まれた可哀相な人ができた
                        大きな狂気は小さな道化師に
                             姿を変えて、貴方の元に・・・・・・

fin

[author: 天邪鬼 * bg: tbsf]